by lieutenant_duck

連作 「冬を見る」 (古川亜希)

枡野浩一さん「かんたん短歌blog」に、
主婦短歌でもケータイ短歌でもない、連作を投稿します。
よろしくお願いいたします。


「冬を見る」   古川亜希

新しいものも好きになれるように 爪あとをつけ手になじませる

「雨の日がちょうどいいの」と嘯(うそぶ)けど毎日きれいに晴れてますこと

今すごくいいアイディアがひらめいて発表する場がないから死にたい

家出する犬の気持ちがわからない 必死で探す父の気持ちも

するのなら写真をたくさん撮りましょう 結婚式は挙げなくていい

朝食はホットココアとジャムのパン ku:nelみたいに暮らしたいから

音楽をかけても花は咲かないし一人暮らしで叱られている

何回も数えたけれど新聞が今日は一枚少ないみたい

駅ナカで人工よつばが売られてた しかも思わず買ってしまった

牛乳のパックを洗い 裂き ひらき 「なんか似合う」と笑われている

昼食は近所のラーメン屋ですます おいしいねって笑いあえてる

さとうしおすしょうゆみそのさしすせそみたいにわたしを大事と言って

ぴんとして肌がひりひりするような冬の空気が(少しだけ)好き

校庭に散らばる生徒 部活動 シンメトリーである美しさ

目をつぶる効果は視界を閉ざすだけ やさしいひとはほんとやさしい

今日はもうねむっていいよ 起こすから こういうときはだまされなさい

(2007.03.16)
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by lieutenant_duck | 2007-03-03 18:30 | 短歌