by lieutenant_duck
依然夏休み 古川亜希

くたくたになるまで泳ぐ たとえもし泣いたとしても気づかれないし

プールには老若男女 それぞれはみんなひとりで来ていたみたい

青白い光を灯す自販機にひらひら飛んで近づいていく

朝焼けをケータイカメラで撮ってみて 君をやっぱり無理やり起こす

焼きそばを作っていたら熱烈な視線 ぬいぐるみと見つめ合う

改札でハイタッチしてカップルがそれぞれ帰路についていく夜

飛び乗ってしまいたいけど西行きの新幹線に行き先はない

弔電を打った 定型文だけで 他の言葉は独り占めした

欲しくないビニールの傘買っちゃった だって仕方がなかったんだよ

お化け屋敷みたいな美術館のこと おばけみたいな水音のこと

はじめての内緒話を聞きながらじっと見ていた下まつげ長い

夕方の電車にゆられてるとここはやはり知らない町だとおもう

まぶしくて目をつぶる毎少しずつ近づいている錯覚 光

いったことなかったかもね 隠しごとなんてひとつもしなかったけど

胸が痛む夏の思い出 そんなものいつの間に手に入れたんだろう

さようなら・いってきますのキスをした 今年の夏はこれでおしまい

(2010.10.01)
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# by lieutenant_duck | 2010-10-12 21:55 | 短歌

東京・1

気がつけば東京の人になっており心配事も東京にある (古川亜希)


かんたん短歌blog が再開されました。
http://masuno-tanka.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/blog-724a.html
うれしいしたのしいです。
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# by lieutenant_duck | 2010-01-29 18:25 | 短歌:「東京」
枡野浩一さん「かんたん短歌blog」に、
主婦短歌でもケータイ短歌でもない、連作を投稿します。
よろしくお願いいたします。


「冬を見る」   古川亜希

新しいものも好きになれるように 爪あとをつけ手になじませる

「雨の日がちょうどいいの」と嘯(うそぶ)けど毎日きれいに晴れてますこと

今すごくいいアイディアがひらめいて発表する場がないから死にたい

家出する犬の気持ちがわからない 必死で探す父の気持ちも

するのなら写真をたくさん撮りましょう 結婚式は挙げなくていい

朝食はホットココアとジャムのパン ku:nelみたいに暮らしたいから

音楽をかけても花は咲かないし一人暮らしで叱られている

何回も数えたけれど新聞が今日は一枚少ないみたい

駅ナカで人工よつばが売られてた しかも思わず買ってしまった

牛乳のパックを洗い 裂き ひらき 「なんか似合う」と笑われている

昼食は近所のラーメン屋ですます おいしいねって笑いあえてる

さとうしおすしょうゆみそのさしすせそみたいにわたしを大事と言って

ぴんとして肌がひりひりするような冬の空気が(少しだけ)好き

校庭に散らばる生徒 部活動 シンメトリーである美しさ

目をつぶる効果は視界を閉ざすだけ やさしいひとはほんとやさしい

今日はもうねむっていいよ 起こすから こういうときはだまされなさい

(2007.03.16)
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# by lieutenant_duck | 2007-03-03 18:30 | 短歌
夏休み

価値のあるものをえらんで生きてゆくことがときどき死ぬほどおっくう

八月の夜の出来事 夏休みだから目覚まし時計はいらない

ため息はずいぶん空気より重く いっこも浮かない赤い風船

風船をたくさんふくらませました それでちょっぴりやせたんですよ

とりあえず、きみの言葉はとりあえず、からはじまっていいや、でとじる

水族館の魚はさびしがってると思い込んでるふしがあるよね

人ごみのなかで「加藤」と呼びかけてふりむいたやつみんな加藤だ

わたしのことそんなに好きっていうんならなぜもう一歩さがらないのよ

かみなりが遠くの空でひかっててわたしはそれが怖くなかった

そのキスは煙草の匂い その煙草はわたしがさっき吸っていたもの

足を伸ばし壁にぴったりくっつけて寝転んでみる よこむきに立つ

液晶を保護するシールなんかより大事なものはあると思うよ

笑いながらごはんを食べた それはそれだけでいいそれだけのおはなし

いまここで手をつないだらどんな顔するのかなって思ったけれど

嘘つきは泥棒にまだなれなくてかっこつけてるゆうこちゃんです

白色のものはだいたい最後には黄色くなるのに集めてしまう

泣くほどじゃないけど好きなひとがいた わたしは笑ってばかりいたんだ


(2006.08.24)
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# by lieutenant_duck | 2006-08-25 00:20 | 短歌

ありがとう短歌

発音のいい「ありがとう」 今日だけはわたしもちゃんといえますように (古川亜希)



6月末で閉じてしまったかんたん短歌blog。
枡野浩一さんに「ありがとう」をいうためのサプライズパーティーに参加してきました。
首謀者は松陽さん、篠田さん。ありがとうございました。
あの夜はまるで夢のように楽しかった。現実感がありません。

枡野さんの登場を、みんなでジッと待っていたとき(しかもクラッカーをかまえて)
わくわくが決壊しそうでしたね。
ああいう感覚は久しぶりでした。
その直後、枡野さんのすごく素敵な表情がみれた!こちらもうれしかったです。
心からありがとうと思いました。枡野さんにも、みなさんにも。

今までかんたん短歌のオフ会的な集まりにあまり参加したことがなかったので、
改めてたくさんの方とお話できたこともうれしかった。

かんたん短歌にまつわる多くのことに、
きっかけをありがとう、と思います。
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# by lieutenant_duck | 2006-07-24 22:31 | 短歌